2013年5月12日日曜日

Project す舞 巨匠インタビュー その 2

Project す舞 巨匠インタビュー その 1 からの続きです。


 2回目の大規模修繕にフォーカスをあてる

 2回目(約20年目)の大規模修繕の方が、1回目より更に大変だそうですね。

「色々な設備の耐用年数がオーバーしてきているから。一回やったからもう分かった、というのは通用しないんですよ。」
「そのためにも、一回目の時に参加して下さった方に、きちんと説明しておきたいんです。今のお住まいが、次の世代に堂々と繋ぎ渡せるようなお住まいになるために。」

2億円ぐらい積み上がっている、世帯数100戸程度の世田谷の億ションの住民が、免震工事をやったせいで、買った時と違う風情になってしまってがっかりしている。誰かに相談したい!と言っていたという話がありましたよね。

「そう、ご存じの通り、建築業者さんがやる訳ですからね。」

うんうん、わかります。
デザイン性までは期待できませんよね。

「建築業者さんや管理会社と喧嘩するために、間に入る訳じゃないんですよ。
たとえ、僕に見積金額を抑えられたとしても、結果いい修繕になれば、住民の人達がその後何かと相談できる関係になるかもしれないでしょ?
20年目の修繕の時、またその業者さんに頼みたくなるような仲になった方が、
お互いにいいと思うのですよ。」

このプロジェクトのキョショウの役割は、
   業者さんとの橋渡し人
   業界用語の通訳
であり、
   建物に愛情を持ってお住まい頂けるように導く仕掛け人
なのだ。

建築業界という特殊な世界に四半世紀も身を置き、マンションやホテルの全工程を手掛けた経験があるからこそ、見積項目のすべてやその裏にある事情を察知できる。
それを、お住まいの主役である住民の皆さんにご説明し、真摯に相談に乗らせていただく。

仕上げに、キョショウの人々への想いや愛情というスパイスが一滴入る。

それが、アスタリスコ・デザイン・アソシエイツの ” プロジェクトす舞 ” の差別化の一厘である。


2013年5月11日土曜日

Project す舞 巨匠インタビュー その 1

” プロジェクト す舞 ” 仕事のきっかけ

 「今のアスタリスコにできることを、ずっと探していたんです。」

「そんな時たまたまネェサンに電話したら、
『マンション理事になっちゃって、もう大変だったのよぉ、大規模修繕。
アナタに相談すればよかった!』
というのが久々の第一声。ネェサンはね、困った時にいつも助けてくれる人。
今回もまた大きなヒントをもらいましたよ。」

マンション建築界では引っ張りだこだったキョショウこと小野敬一が、3年以上それを拒み続け、あえて選んだワイルドロードの中で打ち出した ” プロジェクト す舞 ” という仕事のきっかけについて、問うてみた返事である。

マンションの修繕って、そんなに大変なものなんですか?

「入居の時は、出来ている部屋に入るだけだけど、修繕となると、その時の理事会の人達が建築業者さん達と直でやりとりすることになるでしょ?
膨大な量の見積り項目を理解して、仕分けして、住民の方々のコンセンサスをとって・・・
ってやるんですよ。素人だったら悲鳴の十や二十はあがりますって。」

確かに、私の実家がビルを建てた時、家族の意見が合わず喧嘩ばかりしていた記憶が鮮明にある。挙げ句の果てに母親は鬱病っぽくなり、二度とあのような修羅場は経験したくないと思うキツイ一年だった。
選んだ色と違う外壁タイル(納期に間に合わなかったそうだが、事前に聞いていない)、かみ合わない観音開きの扉、母も私も背が届かないシステムキッチンの上扉等々、出来上がった時には全部チェックしきれなかったモノ達と、その後二十年近く、諦めとため息と共に暮らしている。


興味のきっかけはコストでもいいんです

 話を戻そう。

しかもその前に相見積もりを取ったりもしますよね?
「そう、住民の皆さんの何千万円、ともすれば億という修繕積立金を使う、という責任もあるから、選定の段階からストレスで大変なことになります。会社のお金ではないですからね。」

友人のマンションは、管理会社の選定で業者が決まったと言ってましたけど。

「多分、始まる前から『積立金が足りない』って言われてると思いますよ、そういうところは。
管理会社はその物件に修繕積立金がいくら貯まってるかを知ってますしね。」

そういえば、つい最近会った別の友人のところは、追加で一件当たり百万円以上請求され、慌てて見積を見直し、管理会社も選定し直したそうだ。

「管理会社と友好的にやっていくことはいいことですけど、あくまで住まいの主人はそこに住んでいる自分達ですからね。最終的に自分たちが守る意識だけは持っていないと、いい修繕にはならないと思います。」

インターネットやテレビを見ると大規模修繕コンサルティングを打ち出している会社さんもけっこうあるようだ。

「うん、でも、どこもコストのことばっかりなんだよね。」

それは仕方がないような気がしますが。

「もちろん、最初の動機はそれでいいのだけど・・・・。
僕はね、住んでいる人達に、自分のスマイに興味をもって、愛情をかけてほしいんです。
自分で戸建の家を作ったら、ペンキが剥げてきたら自分で塗るし、屋根も自分で上って直す。でしょ?あれが、自分の住まいに対する想いの基本行動だと思うんですよ。
 だから、マンションの修繕の時も、理事会、委員会メンバー任せ、人任せにしないで、自分で考えられるようになってもらいたいんです。
 そのために、僕は見積項目に乗っている修繕がどういうことなのかを説明して、その修繕が一年以内に必要なことなのか、3年後に別個にやってもいいんじゃないか、ということを説明していく。」

キョショウは熱く続ける。

「できれば、理事会の方々だけじゃなくて、住んでいる人達みんなが、どういう修繕をするのか、それは具体的にどういう外観になるのか、というようなことに意識をもって、この大規模修繕という大プロジェクトに参加するようになるのが理想です。」


Project す舞 巨匠インタビュー その 2 に続きます。



2013年5月10日金曜日

Project す舞 巨匠投稿 "最後の同潤会アパート、解体前に公開"


キョショウからの投稿がありました。

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" 最後の同潤会アパート、解体前に公開 上野下アパート "に寄せて
↑↑↑ 画像と記事,ご参照ください. ↑↑↑
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5月8日,地上波のニュースを眺めるともなく流していたら
最後の同潤会アパートが解体される と
「そんな話がニュースになるんだ」、が第一印象

夜半の他のニュース番組でも同じニュースが流れる
「時代が変わっていく感じがする」

関東大震災の復興事業として建設されたこの同潤会アパートは
集合住宅の近代化の先駆けだった

台東区は上野下という場所で、84年間人々の生活を支え続けたという

東京の肥大化によって地価は上昇し、外から見れば、
そこだけ取り残されたような一角だったであろうその建物は、
人の継承を3世代、4世代も支えたのだ

東京では、再開発という名のもとでオフィスビルの建て替えが進んでいる
「とうとう住宅建築の建て替えが始まるか」
何日か前に口にしたこの言葉に現実味が出てくる

<100年住宅>という言葉を謳い文句にして、
昨今、住宅産業を展開する方々は、
人々が取得する建物の寿命を考えたことがあるのだろうか?

「建物は100年ももたないのだよ」
その建物が映像を通して語りかけているようだ

日本の人口推移は確定的だ
東京が肥大化を続けるには、国外からの人口流入しか考えられない

<資産>という言葉を信じ、住宅を取得する方々に
建物が訴えかけているようだ
「それが過去の話になる可能性が高いのだよ」
「ほら、すでに自動車は資産ではなくなっただろう」とも

であれば、
住宅にまつわる<資産>の概念を転換してしまえばよいのだ、
お金に替えるものではなく、守っていくものとして
そうすれば、
人任せではなく、本当の資産として自分たちに取り戻すことは出来るはず

集合住宅の共用部は、公の道路や公園ではないのだ

自分たちで考え、自分たちで行動してほしいと、心から願う

そのお手伝いをするのが、私たち建築に携わる人間の使命なのだから



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都内にあった何件かの同潤会アパートは、ボロボロに老朽化しながらも、
建物に誇りのようなものがありました。
今回の台東区のそれも、写真で見る限りだが、居住まいの正しさを感じます。
それは、古き良き時代の人達の持っていた気概を、建物が受けているからでしょうか。
きっと建てた人達や住人達に可愛がられていたんだろうなあ、と思います。

建物も必ず年をとるのです。
花も動物も愛情をかけると応えてくれます。
それは建物も同じ、とキョショウは言います。
だから、建物が長生きできるように、住んでいる人達が主体となって、修繕をして頂きたいなあと、思うのです。

「半端な額ではない修繕積立金を、お住まいのご主人の納得がいくように使って下さい。」
「建物を可愛がってあげて下さい。」
今後とも、小さいながらも灯を灯し続け、発信し続けていくつもりです。

アナタのお住まいが、可愛くて丈夫なお年寄りになれますように!